ジンを楽しみ ジンで遊ぶ

ジン(酒)そのものを味わっています。国内外のジンを紹介するとともにジンで色々遊んでいます。

カフェバーのカフェではない「ニッカ カフェ ジン」

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 カフェはCafeではなく、Coffeyで、このジンがカフェ式連続式蒸溜機で作成されたことによる。1800年代前半に連続式蒸留機が発明され、ジンやウイスキーの大量生産が可能となった。この初期の蒸留機の特許を取ったのがイーニアス・カフェ。

 マッサン(竹鶴政孝)が1963年に導入した蒸留機であるが、現存しているものは世界にも少ない。この蒸留機は、効率は悪いものの、原材料由来の風味がベーススピリッツに残るという。マッサンの求めた味がここに残っている。

 最近のクラフトジンでは、ボタニカルを種類ごとにいくつかに分け、それぞれに適した方法で蒸留し、後にブレンドして製品化している。このジンも同様であるが、ベーススピリッツも大麦麦芽ととうもろこしをわけて蒸留している。

 4大スピリッツの中で、テキーラはリュウゼツラン、ラムはサトウキビと原料が限られている。ウオッカとジンは穀物や芋類が多いが、農産物由来であれば何でも良い。りんご、ぶどう、ライチ由来もあるし、牛乳もある。牛乳も農産物だ。

 ウイスキーの場合、モルト(大麦麦芽)は単式蒸留機、グレーン(トウモロコシ、ライ麦などの穀類に、麦芽を20%程度加えたもの)は連続式蒸留機でつくるが、このジンのモルトとトウモロコシはカフェ式連続式蒸留機で(別々に)作っている。

 トウモロコシ原料のスピリッツに、柚子、甘夏、かぼす、シークァーサーといった和柑橘、山椒、りんごなどをグループに分けて入れて蒸留する。ニッカ(日果)の果はりんご。ジンは、ニッカのブレンド技術の高さを生かせる場でもある。

  山椒ベースではあるが、柑橘系などとの調和がおみごと。同じ山椒を使ったジンでも、「季の美」は挑戦的、「カフェジン」は完成度と安定感。「季の美」のおすすめはお湯だったが、このジンはロックか濃いめの水割りが良いと思う。