イギリスの歴史を見るようなジンである。詳細は(→ここ)に詳しいが、大西洋側に面したプリマスは、①アメリカ大陸発見のメイフラワー号が船出した近く(ラベルの帆船)、②大英帝国の交易の拠点であり、英国海軍の最も重要な軍港(無敵艦隊が出港)
③醸造所はドミニコ会が建てた修道院、キリスト教変遷の遺構、④イギリスの衰退の中で迷走後、2009年にペルノ社の傘下に入り経営が安定(日本はサントリー)。イギリスの浮き沈みに翻弄されながらも、今、私の口に入る(めでたしめだたし)。
とにかく、由緒正しいこのジンは、EUの規定で「プリマス」で造ったものしか名のれない(イギリスがEUから離脱したらどうなる?)。イギリス国民は、こういったことまで考えて離脱を承認したのか?(後で後悔)。英は航海が好きだ。
写真で見るより、どっしりとした風体(ふうてい)。ちょこっと舐めてみる。奥深い甘みのあるしっかりとしたクラシックジン、いかにも「海軍御用達」と言ったところか。背筋がピッと伸びる。これを飲みながらの海軍は強かっただろうな。
ボトルの後ろの下に人の姿が貼られている。プリマスの昔のラベルには「修道僧」が大きく描かれており、たぶんこの「なごり」。どうしても、修道院跡で造られていたと言うところに持っていきたいらしい。何か懺悔でも?
クラフトジンを楽しく味わった後に、これを飲むと、「ジンを舐めんなよ!」と言われているよう。カクテルもトニックではなく、キリッとギムレット。海軍医のギムレットはライム(ビタミンC)入りのプリマスで壊血病を防いだ。解決だ