英仏海峡のチャンネル諸島に位置する「ガーンジー島」で生産されている。人口は6万5千人位であるが、その立ち位置には驚かされる。フランスのすぐ沖合にあるものの、イギリス王室属領(君主はイギリス女王)である。イギリス(連合王国)に属さず、独自の議会と政府を持つ。
ただし、外交や国防はイギリス政府に委任しており、主権国家ではない。イギリスでないため、EUにも属していなかったので、「離脱」も関係ない。チャンネル諸島の島々、それぞれに旗や紋章があったりで興味深いのだが・・・、このジンにもビックリする逸話がある。
このジンの立ち上げに関わった「マット氏」、ケンブリッジ大学でハエを研究していたという経歴を持つ。ハエにもいっぱい種類があるが、マット氏の研究対象は、ブルーボトル(blue bottle fly)と称されるクロバエの仲間。キンバエに近く、日本には5種が居るとか。瓶が青いから、では無く・・・の名付け。
このハエを顕微鏡で見たときの美しさに感銘し、ジン作りにおいても隠された美を探求していきたいと、ラベルと名前に現した。実は私、虫に関わる仕事をしているので、このジンに出会えたことに、エラく感銘している。害虫と称される虫でも、顕微鏡で見ると、実に美しい(個人的な感想)。
飲んでみる(常温ストレート)。フルボディーで、どっしりとしたドライジン、その中に上品な甘さ、酸味、辛み、特級のクラフト・ドライジンだ。キーボタニカルは「ハリエニシダ」の花で、濃厚なバターの様な香りがある。
他にも、ナツメグやクベバパッパー(ヒッチョウカ、ジャワ長胡椒)など、その総合力に「美」に通じる。ハエは入っていません。また、加水すると、意外に面白い。青臭くて、酸味があって、ややスカンポのような味変、これもなかなかです。虫もジンも面白い。