ジンを楽しみ ジンで遊ぶ

ジン(酒)そのものを味わっています。国内外のジンを紹介するとともにジンで色々遊んでいます。

毛色の違うジン、個性的な風味に酔う 「香の森(かのもり)」参上

 

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 2019.3、クロモジをメインボタニカルとするジンが養命酒製造株式会社から発売された。日本のクラフトジンは、大手酒造メーカーや焼酎メーカーが手がける物が多いが、新たな分野からの参入である。しかし、ジンも起源は薬酒、養命酒が作ってもおかしくはない。

 クロモジは、本州~九州の低山に自生する落葉樹である。若い枝に生ずる黒い斑点を「黒文字」に見立てたと言われる。樹皮にとても良い香りがあり、小枝を折って口にくわえることは山歩きの常である。高級爪楊枝の材料としても知られる。

 

 養命酒に含まれる生薬は14種類、インヨウカク(イカリソウ)、ウコン、ケイヒ、コウカ(ベニバナ)、ジオウ、シャクヤク、チョウジ、トチュウ、ニクジュヨウ、ニンジン、ボウフウ、ヤクモソウ(メハジキ)、ウショウ、ハンピ(マムシ)である。

f:id:cymagin:20190403193418j:plain ウコンはターメリック、ケイヒはシナモン、チョウジはグローブであり、多くのジンのボタニカルとして使われ、トチュウは「香の森」にも含まれる。そして、ウショウ(鳥樟)はクロモジの枝や根を煎じたものである。

  封を切っての初香、グラスに注ぎ軽く振っての吸臭、やや独特の香りはあるものの、こんな物かと思う程度。しかし、舐めて流し込む際の、口の奥の方で湧き出す味と香りは凄い。かなり強烈な個性、呑む前の想像を遙かに超えている。甘くはない、ドライ。

 クロモジの風味であるが、その他のボタニカルも混じって複雑な味わい。表現が難しいが、薬臭いと言えば薬臭い。ところが、のど元を過ぎてしまうと、その香りがスッと消えていく。また舐めるとグググと来る。かなり経って、体の奥から臭いが出てくる。

 「14種類の生薬を配合」の養命酒、「クロモジの他18種類のボタニカルを使用」の香の森、両酒、かなり通じるところがある。生薬や薬草は、ジンのボタニカルとして多くの可能性を秘めている。薬用ジンなるものが出てくるかも。

 追記:炭酸、水、お湯で割ると若干白濁する。